回路公式依存の落とし穴にはまらないようにしよう!(その1)
[mathjax]
みなさんこんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの森です。
テクノシェルパの技術者教育では、初めて電子回路を学ぶ方でも実践的な回路技術を身につけてもらえるよう、当社が社内教育をとおして蓄積した「独自の教育メソッド」を惜しみなく注ぎ込んでいます。
さて今回は、回路公式依存の落とし穴にはまらないためのちょっとしたコツをご紹介いたします。
回路を扱う上ではいくつかの必須回路公式があります。
前回,前々回のブログでもご紹介したオームの法則は、必須中の必須、いわば常識ですよね。公式としてもV = IR とかI =V/R で表される、とてもシンプルで覚えやすい式です。このオームの法則に関連する公式として、抵抗の直列と並列の式が挙げられます。
図1 抵抗直列回路
図1のような抵抗直列回路において、合成抵抗R Sは、
$$R_S=R_1+R_2 ・・・(1) $$
というように直列される抵抗の総和として求まります。
さらに、図2のような抵抗並列回路の合成抵抗R Pは、抵抗並列回路の公式を用いて、
$$R_P=\frac{1}{\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}} ・・・(2) $$
というように、抵抗の逆数の総和から求めることができます。(抵抗並列回路はちょっとやっかいですね。)
図2 抵抗並列回路(1)
抵抗並列回路についてもう少しやってみましょう。
図3のような抵抗5本の並列回路の合成抵抗R P2はどのようになるかというと、抵抗並列回路の公式を用いて、
$$R_{P2}=\frac{1}{\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_3}+\frac{1}{R_4}+\frac{1}{R_5}} ・・・(3) $$
として求めることができます。
図3 抵抗並列回路(2)
さてこの式(3)ですが、分母に分数の和の式を含むため、まずここを通分しなくてはなりません。少し大変ですが頑張って通分してみましょう。
$$R_{P2}=\frac{1}{\frac{{R_2}{R_3}{R_4}{R_5}+{R_1}{R_3}{R_4}{R_5}+{R_1}{R_2}{R_4}{R_5}+{R_1}{R_2}{R_3}{R_5}+{R_1}{R_2}{R_3}{R_4}}{{R_1}{R_2}{R_3}{R_4}{R_5}}} $$
$$ =\frac{{R_1}{R_2}{R_3}{R_4}{R_5}}{{R_2}{R_3}{R_4}{R_5}+{R_1}{R_3}{R_4}{R_5}+{R_1}{R_2}{R_4}{R_5}+{R_1}{R_2}{R_3}{R_5}+{R_1}{R_2}{R_3}{R_4}} ・・・(4) $$
さあ、折角なので式(4)を用いて、R 1=330 Ω,R 2=470 Ω,R 3=15 kΩ,R 4=56 Ω,R 5=100 kΩのときのR P2を求めてみましょう!!(電卓を使って計算してみてください。)
正解は42.2 Ωなんですがみなさんの計算結果は一致しましたか?
さて、ここまで抵抗並列回路の公式を使って合成抵抗を求めてみましたが、みなさんのご感想はいかがでしょうか?
- 抵抗並列回路の公式を覚えるのは大変だ。
- 式(4)を通分する時点で間違えそうになった。
- 式(4)は正しかったのに、最後の電卓計算で違った数値になってしまった。
- とにかく面倒!!
などと思われた方が多かったのではないでしょうか。
今回の例のように、公式を使って真正面から解こうとすると、途中過程が面倒だったり間違い易かったりする場合があります。そのような場合は、一つの回路公式に頼るのでなく、別の算出方法を知っておくと実践ではとても役に立ちます。
次回のブログでは、この続きをお話しさせていただきます。次のブログも是非ご覧ください。
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