RTK-GNSS受信機による位置検出精度は?
皆さんはじめまして。WTI設計第一課の熊谷です。
最近もっぱら話題となっています みちびき(準天頂衛星システム)ですが、みちびきが本格運用されれば自分の車のカーナビゲーションの位置検出がセンチメータ級の精度になるのかな?と思われている方もいるのかも・・・、それなら私も大喜びなのですが、実は違うんです。
カーナビメーカーの製品で「みちびき対応!」と謳っている製品も出てきていて、ニュースでは、みちびきの運用でセンチメートル級の誤差で位置検出が可能と大々的に報道されていますが、みちびきから送信されるL6信号と呼ばれるセンチメートル級測位補強信号を受信できる端末でしかセンチメートル級で位置検出することはできません。
このL6信号を受信できない端末の場合は、GPS衛星が準天頂の位置に一つ増えるだけと大きく変わりません。
現状ではL6信号を受信できる端末のお値段は約100万円!
100万円の金額を出しても高精度なカーナビが欲しい~って考える人は・・?
数年?待って量産効果で価格が下がる事を願うばかりです。
みちびきとよく似たシステムで高精度な位置検出を可能にするRTK-GNSS(Real Time Kinematic- Global Navigation Satellite System)は今まで主に測量用の計測器として利用されてきましたが、高すぎて容易には使えませんでした。
RTK-GNSSは、移動局に対して基準局からリアルタイムで補正データを送受信することで、センチメートル級の精度で位置検出を行うことが可能となる受信方法です。補正データを4Gなどで基準データ送信サービス事業者から受け取るネットワーク型と、特小無線などを用いて移動局に送信するシステムが存在します。
2016年に某社から発売された廉価版RTK-GNSS受信機では、特小無線を使用することで今までの1/10以下の安価なシステムで高精度な位置検出が可能となりました。
限られた場所で位置検出を行うのであれば、この廉価版RTK-GNSSを使用することでセンチメートル級の位置検出を安価に行うことが可能になります。
通常のGPSを使用した場合、絶対方位や絶対速度はGPS衛星の電波のドップラー効果を用いて計算するので、低速でしか走行しない(できない?)重機や農機の絶対方位や速度を精度良く検出することはできませんでした。
しかし、センチメートル級の位置検出が可能なRTK-GNSS受信機では1台の基地局と1台の移動局で絶対方位や絶対速度を演算できるんです。
さらに、RTK-GNSS受信機を車両の前後に2つ設置すれば、停止していても絶対方位を検出できます!
上の図は、小さな車の屋根の前後に、RTK-GNSSアンテナの受信機を取付け、前後の受信機だけで、絶対方位を測位したものです。
図の赤丸部は車が停止しているときのもので、停止していても2点間の緯度経度差から絶対方位を取得することができています。
この測定では、受信アンテナの2点間距離はたった176cmでした。(右の写真)
さて、こんな高精度なアンテナを2つ搭載して走るとどんな結果が得られると思いますか?
実際に走行してみたのが下の写真です。
車の前方と、後方の走行軌跡がカーブでは二重になっています。なんと、車の内輪差を検出しているんです!
当社は、これらRTK-GNSS受信機や自律航法など位置検出に関する、お客様の技術サポートから試作品開発などを行っております。特に重機や農機など特定のエリアで使用する低速走行を行う車両の自動運転をサポートするシステムにつきましては是非、お問い合わせください。
【関連リンク】https://www.wti.jp/?s=IoT
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