屋内で数cm以内の位置精度を実現! ~電波を使わない、新しい位置測位のカタチ~(特許出願中)

みなさんこんにちは。テクノシェルパ営業担当の奥田です。

私たちが得意とする技術の一つに、高い精度で自車の位置測定を可能とする「高精度位置測位技術」というものがあります。

このたび私たちは、位置情報取得に電波を利用しない、新しい方式の位置測位技術を開発いたしましたのでご紹介させていただきたいと思います。

 

そもそも位置測位とは?

近年、人手不足を解消するために、農機や建機、搬送系などの自動運転が大きな注目を集めていますが、それを実現するための第一歩として、まずは正確に自車の位置を知る必要があります。

仮に、限られた空間内で自動運転をさせる場合、自車の周囲や障害物、製品の場所などを正確にインプットできたとしても、そもそも自車の位置がずれてしまっていたら、正しく利用することはできないですよね。

なかでも、屋内での位置測位は、GPSなどの人工衛星から位置情報を受信することができないため、位置精度も低く、実用化が難しい技術でした。

図1:屋内ではGPSの位置情報を受信できない

 

屋内で位置測位するための「相対位置検知」

屋内で自車の位置を知るためには、基準点となる座標位置を定め、その地点からの移動方向と距離を測位します。これを「相対位置検知」と呼びます。

ところが、この方法で測位をしていくと、移動するにしたがって少しずつ誤差が生じてしまい、この誤差はどんどん累積していくため、最終的に実車位置との大きなずれが生じます。

図2:測位で生じた誤差の累積イメージ

 

そのため、その誤差を補正するために、エリア内の各所に絶対位置を記録したサインポストを設け、その位置を自車が検出することで誤差を補正する方法をとります。

通常、そのサインポストにはBLE(Bluetooth Low Energy)などの電波を発信する機器を設置し、自車側で電波強度を測定することでおおよその位置を検出する方法が一般的です。

図3:電波を利用した従来の位置補正方式

 

しかし、その方法ではいくつかの問題点があります。

  • 周辺コンディションによって電波強度が変わるため、絶対位置としての精度が低い
  • サインポストから電波を発信するため、電源が必要
  • サインポスト側が電波を発信しているかの状態監視やメンテナンスが必要

せっかく誤差を補正するためにサインポストを設置したのに、それを検出する精度が低いせいで正確な位置が割り出せないとは、なんだか残念な話ですよね。
また、電源が必要だったり、まめにメンテナンスをしなきゃならなかったり、そういう面での負担も、実際に運用されるお客様にとってはデメリットにしかなりません。

何か良い方法はないものか…私たちは考えました。

そしてついに、これらの問題を一手に解決する、電波による位置補正に替わるまったく新しい技術を開発いたしました!

いつでも正確・電源不要! AR(拡張現実)マーカを利用した高精度位置測位(特許出願中)

私たちが開発した、新しい位置測位技術には、AR(拡張現実)を利用します。

AR(拡張現実)とは、実際の風景に仮想の情報を重ね合わせる技術のことで、レジャーやプロモーション、何かを設置する際のシミュレーションなど様々な場面で使用されています。

身近なところでは、アプリを入れたスマホでマーカを写すと、そこに存在していないキャラクターの画像が表示されたりするあの技術です。

この技術を利用して、実車に取り付けたカメラで、サインポストに張り付けられたマーカを検知し、画像処理技術によって方向と距離を測位します。

図4:カメラとバーコードを利用した位置補正技術

 

サインポストには二次元でプリントしたマーカを設置しますので、電源は不要で特にメンテナンスも必要ありません。
プリントされた30cm角ほどのマーカを壁にペタッと張り付ければそれで終わりです。
電波のように、その時の周辺コンディションによる強弱もありませんので、いつも正確な位置測位が可能です。

私たちの実験では、2m程度の距離で、なんと誤差は±2cmしかありませんでした。
一般的な倉庫の通路幅はおよそ3mですので、十分実用に耐えうる精度ではないでしょうか。

 

さて、AR(拡張現実)を利用した、まったく新しい位置測位の技術をご紹介いたしましたが、いかがだったでしょうか。

実はこの技術、10/20付けの日刊工業新聞でも大きく取り上げられ、大変な反響をお寄せいただいております。

これから先、自動運転による無人化は、様々な分野でますます進んでいくことが予想されます。お客様の無人化開発の取り組みを、ぜひ私たちテクノシェルパにお手伝いさせてください。

 

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