農業機械の自動走行は、なぜ難しいのか? ~待ったなしの農機自動化。でも技術的には課題が多いのです~

株式会社Wave Technologyの社長 石川高英です。

以前のブログ「スマート農業に不可欠な技術は○○です」にて、今後の農業では、農機の自動走行化が進むこと、そしてその実現のためには高精度な位置検出技術が不可欠であることをお話しました。

とは言うものの、農機の自動走行技術には、かなりの難易度があります、というのが今回の話題です。

以下に3つほど、難しい理由を挙げます。

まず第1に、田畑の地面にはかなりの凹凸がありますので、農機のハンドルを真っすぐにしていても、蛇行したりして真っすぐには進んでくれません。

この蛇行をなくすためには、走行する農機の刻々と変化する状況をリアルタイムで把握し、蛇行に逆らう方向へとハンドルを正確にコントロールする必要があります。

第2に、農作業では作業者が農地に入っていることが多く、もし農機と人が接触しそうになった場合は、農機を緊急停止させたり、人を回避するなどの安全機能が瞬時に自動起動する必要があります。
一方で、作物の育っている農地にいる人を検出する技術は、難易度が高いのです。

実は、農作業死亡事故の2/3が農業機械によるものとされ、半数近くがトラクターに起因しています。
ですから、農地内に人がいても安心して作業が進められるよう、農機には万全の安全機能が求められます。

第3に、現場で実験することが難しいという事情があります。
例えば、田植えや収穫作業は多くの場合、1年に1時期しか行うチャンスがありません。限られた回数の実験では、装置の開発が思うように進みません。
ですから、シミュレーションも併せて活用するのですが、これもまた簡単ではありません。路面状況が機体制御に影響しますし、自動車と違って多数の作業機を伴うため、シミュレーション要件が膨大になってしまうのです。

このように課題が多くある農機の自動走行ですが、日本の農業人口の減少と高齢化を考えるとき、早急な実現が強く望まれる技術であることは、間違いありません。

当社WTIには日頃、農機、建機、貨物搬送機を含め、自動走行(AGV)のための高精度位置検出技術のお問い合わせをたくさんいただいており、技術導入のご支援させていただいております。

自動走行を実現するための高精度位置検知技術は、労働人口の減少する日本には、なくてはならない技術です。

ですから、当社は自社研究開発にも力を入れております。当社エンジニア達は、その成果を以て世の中に貢献することを心に抱いて、日々の仕事を頑張っています。

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掲載画像 ©iStockphoto.com/ by Getty Images