スミスチャートとは? ~きちんと知ると便利です~(その6)

みなさん こんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの河野です。

前回のブログ・スミスチャートとは? ~きちんと知ると便利です~(その5)では特性インピーダンスZ0 = 50Ωの線路とオープンスタブによるインピーダンス変換をご説明いたしました。今回は、特性インピーダンスZ0 = 50Ωの線路とショートスタブによるインピーダンス変換をご説明いたします。

ちなみにショートスタブとは、先端が接地状態の伝送線路のことであり、このスタブの特性インピーダンスをZsとすると、ショートスタブと伝送線路の交点のインピーダンス は次式で求められます。

また、次のとおりショートスタブの長さにより動作が変化します。(図1)

のときはシャントのインダクタンス

のときはシャントのキャパシタンス

それでは、Z1が純抵抗(スミスチャートの実軸上)の場合の具体例でご説明していきます。

図2に示すとおり、インピーダンスZ1 = 100 + j0 ΩをZ0 = 50 Ωの線路(a)とショートスタブ(b)でインピーダンスZ2 = 50 + j0 Ωへの変換をアドミッタンスチャート上で求めます。

① Z1 = 100 + j0 Ωをアドミッタンスに変換し、正規化すれば、y1 = 0.5 + j0 Sです。Z0 = 50 Ωの線路に接続されているので、Y0 = 0.02 Sのアドミッタンスチャートにプロットされます。つまり、y1はアドミッタンスチャートの実軸0.5の位置にプロットされます。

② (a)の線路での移動は、y0を中心に反射係数ベクトル”2”の円に沿って、時計回りに回転し、コンダクタンス”1”の定コンダクタンス円との交点y3まで移動します。 中心y0からy3点を通過する直線を作図します。この回転角θa = 109.5°となります。λ/2でスミスチャートを1回転することを以前説明しました。よって(a)の線路長Aは0.152 λであることがわかります。(図3)

③ y3の容量性サセプタンスは+j0.72 Sであり、ショートスタブもしくは、並列インダクタンスを接続すればy0(y2)へ移動することができます。並列インダクタンスの求め方は、”スミスチャートとは? ~きちんと知ると便利です~(その3)”にてご説明していますので、そちらをご覧ください。

④ オープンスタブ(b)の長さBを求めるには、まずy3の共役点y3‘から等サセプタンス円を延長した線とアドミッタンスチャートの外周との交点と中心y0を結びます。この回転角θb = 109.5°となります。オープンスタブの長さは、ショートの位置(アドミッタンスチャートの”∞”位置)から時計回りに109.5° 回転した線路長となるので、(b)の線路長Bは0.152λであることがわかります。(図4)

ただし、実際にショートスタブでインピーダンス変換を行おうとした場合には、スタブを接地しなければならないので、線路長の微妙な調整が困難です。よって、こういった場合においても線路長の微妙な調整が容易なオープンスタブでインピーダンス変換を行う方が実践的といえます。

図5のような回路構成で、図6に示すアドミッタンスチャートの軌跡にてインピーダンス変換ができます。Z0 = 50 Ωの線路でy0を中心に反射係数ベクトル”2”の円に沿って、時計回りに回転し、コンダクタンス”1”の 定コンダクタンス円と誘導性領域での交点y4まで移動します。そこからオープンスタブでy2まで移動できます。これは前回の説明”ブログ・スミスチャートとは? ~きちんと知ると便利です~(その5)”と同じなので、詳しい説明は割愛します。

今回のご説明は以上です。

テクノシェルパの技術教育サービスでは、今後高周波回路の技術講座をオンデマンドでの配信を予定しています。この講座では高周波アナログ回路の基礎を学ぶことができるとともに、スミスチャートアプリ”Mr.Smith”を使って簡単な整合回路設計ができるようになります。この講座を通じて皆様にもぜひスミスチャートを使っていただき、その便利さを実感していただきたいと思います。

※スミスチャート解説動画をご覧ください。




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