「脱炭素物流」でカギとなる移動体の位置検知。測距レーザーの裏技活用術!
みなさんこんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの赤谷です。
4月以来のブログ投稿となりますが、相変わらずコロナ禍の渦中にあり、真夏にもかかわらずマスクを手放せないなど、コロナ前の世界を懐かしんでいる今日この頃です。withコロナの世界では、3密(密閉、密集、密接)を避ける新生活様式が始まり、日常生活やビジネスそして物流など、あらゆる活動について見直しが必要となっております。
withコロナの世界で重要となる技術の一つが自動化です。ちなみに、私どもが注目している物流倉庫の自動化では、3密を避けるだけでなく、空調や照明を減らすこともできることから、温室効果ガスの削減にも寄与することが期待されます。
※ 温室効果ガスの削減については、政府も「脱炭素物流」の構築に向け補助金(2020年度予算に7億8千万円を計上)を出すなど官民一体で取り組みが加速しております。
物流倉庫の自動化では、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)やフォークリフトなどを自動走行させ、荷物を搬送しますが、その実現には屋内移動体の位置検知技術が欠かせません。
屋内移動体の位置検知には様々な手法があり、前回のブログ(屋内位置検知はセンシング技術がポイント。ミリ波レーダーで移動量を検出しよう!)では、相対位置検知の方法について簡単にご紹介させていただきました。
この相対位置検知は、絶対位置を定義したポイントからの移動量を検出し、「絶対位置 +移動量」から「移動体の位置」を特定します。ですが、検出する移動量には誤差があり、これが累積すると大きな位置ズレの要因となります。このため、相対位置検知では、必ず累積誤差を補正する手段が必要となるのです。
そこで、絶対位置を定義したサインポストを一定間隔で設け、このサインポストを何らかの方法で検出することによって、累積誤差の補正を行います。サインポストの検出方法の一つに、電波ビーコンを用いるものがありますが、以下の課題があります。
✓ 電波は不安定となりやすく、位置検出精度が悪い。
✓ サインポストに電源が必要でありインフラ整備でネックになる。
このように、方式ごとに課題があり現状は確固たる手法がない状態です。
そこで私どもは、測距レーザーを使ったサインポスト検出方法を開発し、その実用化に取り組んでおります(特許出願中)。その原理について簡単に説明します。
サインポストには、下図のような穴あきプレートを設置します。
図1 プレートのイメージ
そして測距レーザーは移動体側に設置します。システム構成は次のようなイメージです。
図2 システム構成
フォークリフトなどの移動体がこのプレートの前を通過したとき、測距レーザーには固有パターン(ID情報)が出力されます。(穴とプレートの表面で距離が変わるため)
図3 プレートのスキャンイメージ
この固有パターン(ID情報)を読み取ることによって、サインポスト(絶対位置)を検出します。(ID情報と絶対位置を紐づけしておきます。)
この手法の優れているポイントは次の2点です。
✓ サインポスト側に電源が要らない。(インフラ整備では重要なポイント)
✓ 測距レーザーによって、数センチメートル級の位置精度が確保できる。
このように、既存の物流倉庫へのインフラ整備のしやすさや測距レーザーを使うことによる位置精度の高さなど、これまでにないメリットがあり、私どもは物流倉庫の自動化への貢献に大きな期待を込めて開発に取り組んでおります。
脱炭素物流や効率化に向け、試行錯誤されているお客様は非常に多いと存じます。私どもはお客様の開発をサポートし、技術的ハードルを越える「触媒」のような役割を果たせると自負しておりますので、今回ご紹介した技術に限らず、位置検知にご興味のあるお客様は、当社の移動体の位置検知コンサルサービスを是非ご利用下さい。
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