反射係数とは?~スミスチャートとの関係~(その1)

みなさん こんにちは。テクノシェルパ技術コンサルタントの河野です。

これまで”スミスチャートとは?~きちんと知ると便利です~”という6回のシリーズブログでスミスチャートについて紹介させていただきました。
今回はそのスミスチャートのさらに基礎となる反射係数について紹介させていただきます。

当社の高周波(RF)コンサルサービスはこちら

 

<2023新入社員様向け半額キャンペーンのお知らせ>

オンデマンド講座-Mr.Smithで学ぶインピーダンスマッチングの基礎は現在(2023年7月31日まで)、受講料半額キャンペーン実施中です。ぜひこちらをご覧ください。

 

高周波の伝搬においては、インピーダンスの不整合により反射が発生します。海岸の防波堤を想像していただければいいのですが、防波堤より高い波が来た時には、防波堤を乗り越える波と防波堤から反射する波の二つに分かれます。
これと同様のことが高周波の伝搬でも発生します。

伝送線路の特性インピーダンスZ0と負荷インピーダンスZLの接続点で反射が発生する回路図で説明します。電源インピーダンス(ZS Ω)から特性インピーダンス(Z0 Ω)の線路を伝搬し、負荷インピーダンス(ZL = RL + jXL Ω)に接続しています。

信号源から負荷に向かって伝搬する電磁波を入射波(電圧/電流をVF/IFとします)といいます。また接続点から電源に向かって伝搬する電磁波を反射波(電圧/電流をVR/IRとします)といいます。

そして、反射波と入射波の比を反射係数Γと呼びます。この値は、特に断りがない限り電圧の振幅で定義されます。そのときVR = ΓVFIR = -ΓIFとなります。

また、接続点から負荷インピーダンスに向かって伝搬する電磁波を進行波(電圧/電流をVL/ILとします)といいます。

これらを辺々割り算すると

Z0 = VF/IFZL = VL/ILなので、上式は次式となります。

よって、反射係数Γは以下式で表されます。

次に反射係数ΓとZLの関係についてです。
まずはZLの実数部(RL)の大きさと反射係数Γの関係です。

(1) ZL=∞ Ω(すなわちオープン)の場合、進行波(への入射波)はZLで消費されずにすべて同相で反射されます。

したがってΓ=1となります。

(2) ZL = 0 Ω(すなわちショート)の場合、進行波(ZLへの入射波)はZLで消費されずにすべて逆相で反射されます。

したがってΓ=-1となります。

(3) ZL = Z0の場合、進行波(ZLへの入射波)はZLですべて消費されるので反射波は発生しません。

したがってΓ=0となります。

続いて反射係数ΓとZLの虚数部(jXL)の関係を示します。

(4) ZL = +jZ0(誘導性)のとき、反射波は進行波に対して+90°の位相差で全反射します。

したがってΓ=+j1となります。

(5) ZL = -jZ0(容量性)のとき、反射波は進行波に対して-90°の位相差で全反射します。

したがってΓ=-j1となります。

 

今回はここまでの説明とさせていただきます。次回はスミスチャートとの関係について解説させていただきます。次回をお楽しみに。

 

高周波・無線に関するブログやホームページは、下記からご覧いただけます。興味ある方は、ぜひ一度ご覧ください。

【関連リンク】

■技術者教育ブログ

■技術コンサルサービス

■高周波・無線関連ページ

高周波・無線関連ブログ

電子回路設計 ヒントPLUS☆(高周波関連)

 

テクノシェルパ・メールマガジンの配信(無料)

テクノシェルパの技術コンサルや技術者教育に関わる情報などをお届けしているブログ記事は、メールマガジンでも購読できます。ブログのサンプル記事はこちら

テクノシェルパメールマガジンの登録・メールアドレス変更・配信停止はこちら